Core Concepts
細胞移動は、小胞体-細胞膜接触部位の前後極性化によって制御される。前部では小さく不安定な接触部位が形成され、後部では大きく安定な接触部位が形成されることで、細胞極性化と移動方向の決定が行われる。
Abstract
本研究では、細胞移動における小胞体-細胞膜(ER-PM)接触部位の役割について明らかにしている。
細胞移動には、前部での膜突出と後部での信号抑制が重要であるが、後部の抑制メカニズムは不明であった。
本研究の結果、ER-PM接触部位の前後極性化が、この抑制メカニズムを担っていることが示された。
前部では小さく不安定な接触部位が形成され、後部では大きく安定な接触部位が形成される。
この勾配により、後部ではER由来のPTP1Bリン酸化酵素が細胞膜基質により多くアクセスできるようになり、前部の受容体シグナルが抑制される。
この極性化は、ER自体の前後極性化に由来しており、前部ではRTN4に富む湾曲ERが、後部ではCLIMP63に富む平坦ERが優位となる。
以上より、ER-PM接触部位の前後勾配が細胞極性化と移動方向決定に重要な役割を果たすことが明らかになった。
Stats
細胞移動の前後極性化には、ER-PM接触部位の密度勾配が重要である。
前部では小さく不安定な接触部位が、後部では大きく安定な接触部位が形成される。
この勾配により、後部ではER由来のPTP1Bリン酸化酵素が細胞膜基質により多くアクセスできるようになる。
Quotes
「細胞移動には、前部での膜突出と後部での信号抑制が重要であるが、後部の抑制メカニズムは不明であった。」
「前部では小さく不安定な接触部位が形成され、後部では大きく安定な接触部位が形成される。」
「この勾配により、後部ではER由来のPTP1Bリン酸化酵素が細胞膜基質により多くアクセスできるようになり、前部の受容体シグナルが抑制される。」