Core Concepts
本研究では、脳機能グラフにおける重要な信号伝達経路である機能的バックボーンを特定するために、サイクルに基づいたグラフ畳み込み演算子を導入した新しいモデル「CycGAT」を提案する。
Abstract
本研究では、機能的磁気共鳴画像(fMRI)データを用いて脳機能的結合性をグラフとしてモデル化し、そのトポロジー構造を分析するための新しいアプローチ「CycGAT」を提案している。
まず、サイクル基底を表す「サイクル入射行列」と、サイクル間の関係を表す「サイクル隣接行列」を定義し、これらを用いてサイクルに基づいたグラフ畳み込み演算子を設計した。さらに、エッジの位置エンコーディングを導入することで、エッジ間の位置関係を表現し、アテンションメカニズムを組み合わせることで、より強力な表現力を実現している。
シミュレーションデータを用いた実験では、提案手法のサイクルに基づいた空間局所性を確認した。また、大規模なABCD研究のfMRIデータを用いた実験では、提案手法が既存の手法に比べて高い精度で一般知能の高低群を分類できることを示した。さらに、提案手法によって抽出された機能的バックボーンは、既存の知見と整合的な領域間結合を示しており、サイクルの削減によって冗長な結合が除去されていることが確認された。
以上より、本研究で提案したCycGATは、脳機能的結合性の本質的な構造を捉えることができる強力なツールであると言える。今後は、構造的結合性との関係性の分析など、さらなる応用展開が期待される。
Stats
本研究では、ABCD研究のfMRIデータ(n=8765)を用いて実験を行っている。