Core Concepts
膜タンパク質の折りたたみ効率の低下は、変異の相互作用に大きな影響を及ぼす。
Abstract
本研究では、膜タンパク質であるゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRHR)を対象に、膜統合(V276T)と三次構造(W107A)の安定性を選択的に低下させる2つの変異体を用いて、変異間のエピスタシスを解析した。
V276Tは膜統合の効率を低下させ、W107Aは三次構造を不安定化させる。
251の変異体について、これらの変異体の背景下での発現を解析した。
V276Tとの組み合わせでは、主に負のエピスタシスが観察された。一方、W107Aとの組み合わせでは、主に正のエピスタシスが観察された。
変異の構造的な位置(膜貫通領域vs. 可溶性ループ)によってもエピスタシスの傾向が異なった。
不安定な変異体では、変異の累積的な影響が飽和するため、正のエピスタシスが生じやすくなる。
膜タンパク質の折りたたみ効率の低下は、変異の相互作用を大きく変化させ、進化的な経路を特徴づける可能性がある。
Stats
V276Tは野生型に比べて発現が65%低下する。
W107Aは野生型に比べて発現が88%低下する。
Quotes
「膜タンパク質の折りたたみ効率の低下は、変異の相互作用を大きく変化させ、進化的な経路を特徴づける可能性がある。」
「不安定な変異体では、変異の累積的な影響が飽和するため、正のエピスタシスが生じやすくなる。」