Core Concepts
対話における共感は効果的で満足度の高いコミュニケーションに不可欠である。従来の取り組みは主に話し手の共感表現に焦点を当ててきたが、対話は話し手と聞き手の協働であるという事実を無視してきた。本研究では、話し手の共感表現と聞き手の共感認知の両側面を評価する新しい枠組みを提案する。
Abstract
本研究は、対話における共感を多次元的に評価する新しい枠組みを提案している。従来の研究は主に話し手の共感表現に焦点を当ててきたが、本研究では話し手の共感表現と聞き手の共感認知の両側面を評価する。
具体的には、話し手の共感表現を16種類の意図に分類し、聞き手の共感認知を4つの側面(関与度、理解度、共感度、有用性)で評価する。内部データセットを用いた分析の結果、両側面は関連しつつも区別可能であり、聞き手の共感認知が対話満足度と強く相関することが示された。
さらに、言語モデルを用いた自動評価手法を検討した。プロンプティングでは既存の大規模言語モデルでも性能が低いが、教師あり学習では特にFlan-T5系列の言語モデルが優れた性能を示した。詳細な分析から、教師あり学習の有効性が明らかになった。
Stats
話し手の共感表現がある場合、聞き手の関与度は3.97、理解度は3.90、共感度は3.05、有用性は3.83であった。
話し手の共感表現がない場合、聞き手の関与度は3.99、理解度は3.96、共感度は3.08、有用性は3.87であった。
対話満足度は、聞き手の関与度と0.410、理解度と0.396、共感度と0.099、有用性と0.580の相関があった。