Core Concepts
定数コストランダム通信クラスBPP0には完全問題が存在しない。また、k-ハミング距離問題はBPP0内で無限の階層を形成する。
Abstract
本論文では、定数コストランダム通信クラスBPP0に完全問題が存在しないことを証明した。BPP0は、公共コインランダム通信プロトコルを用いて定数コストで解くことができる通信問題の集合である。
まず、BPP0クラスの完全問題の不存在を示した。つまり、BPP0の全ての問題をある定数コストの決定論的プロトコルで解くことができる、そのような「真にランダムな」定数コストプロトコルは存在しない。
次に、k-ハミング距離問題がBPP0内で無限の階層を形成することを示した。具体的には、任意の定数kについて、k-ハミング距離問題はk-1-ハミング距離問題に定数コスト削減できないことを証明した。これは、BPPクラスにおけるInteger Inner Product関数の無限階層と類似の結果である。
これらの結果を示すために、BPP0の任意のオラクルに対する下界を証明する新しいRamsey理論に基づく手法を導入した。この手法は、従来の手法では分離できなかった1-ハミング距離問題とEquality問題の分離にも成功した。
最後に、BPP削減の文脈で、k-ハミング距離問題とInteger Inner Product関数の相互関係を明らかにした。具体的には、任意の定数d≥3について、n-bit Integer Inner Product関数IIPd
nはk-ハミング距離問題に対して多項式サイズのBPP削減はできないことを示した。
Stats
任意の定数k≥1について、k-ハミング距離問題はk-1-ハミング距離問題に定数コスト削減できない。
任意の定数d≥3について、n-bit Integer Inner Product関数IIPd
nはk-ハミング距離問題に対して多項式サイズのBPP削減はできない(ただし、k≤n/(log n)ω(1))。