Core Concepts
量子ハードウェアのノイズが時間とともに変化し、また相関する場合でも、デコーディンググラフの重み付けを動的に調整することで、量子エラー訂正の性能を大幅に改善できる。
Abstract
本論文は、量子エラー訂正における二つの重要な課題に取り組んでいる。
ノイズの経時的な変化(ドリフト)
量子ハードウェアのノイズは時間とともに大きく変化する可能性がある。しかし、従来のMWPMデコーダーはこのノイズドリフトに対応できず、性能が大幅に劣化してしまう。
ノイズの相関
量子ハードウェアのノイズは相関を持つことが多い。例えば、2量子ビットの誤りは1量子ビットのX誤りと1量子ビットのZ誤りを同時に引き起こす。しかし、従来のMWPMデコーダーはこの相関を考慮していないため、性能が低下する。
本論文では、これらの課題に対処するため、デコーディンググラフの重み付けを動的に調整する手法「DGR」を提案している。
アラインメント再重み付けでは、過去のデコーディング結果から各エッジの発生頻度を統計的に推定し、重みを更新することで、ノイズドリフトに適応する。
相関再重み付けでは、エッジ間の相関を推定し、初回デコーディングの結果を基に重みを調整することで、相関ノイズに対処する。
これらの手法により、従来のMWPMデコーダーに比べて、論理エラー率を大幅に改善できることが示されている。特に、ノイズが大きく変化する最悪ケースでは、論理エラー率を5000倍以上改善できる。
Stats
物理エラー率が0.001の場合、表面符号のデコーディングでは、重み推定誤差は106回の試行後に収束する。
物理エラー率が0.001の場合、honeycomb符号のデコーディングでは、重み推定誤差は106回の試行後に収束する。
Quotes
"量子ハードウェアのノイズは時間とともに大きく変化する可能性がある。しかし、従来のMWPMデコーダーはこのノイズドリフトに対応できず、性能が大幅に劣化してしまう。"
"量子ハードウェアのノイズは相関を持つことが多い。例えば、2量子ビットの誤りは1量子ビットのX誤りと1量子ビットのZ誤りを同時に引き起こす。しかし、従来のMWPMデコーダーはこの相関を考慮していないため、性能が低下する。"