核心概念
本論文は、取引価格のみを観測できる状況で、第一価格オークションと第二価格オークションにおける勝者の期待効用、出品者の期待収益、および評価分布の裾野の特性に関する推論方法を提案する。
要約
本論文は、入札者数が大きい場合のオークションにおける推論方法を提案する。従来の研究では、多数の同質的なオークションを観測することが前提とされていたが、本論文の枠組みでは、少数の異質なオークションを観測する場合でも有効な推論が可能である。
具体的には、以下の3点について推論を行う。
- 勝者の期待効用の推論: 取引価格のみを用いて、勝者の期待効用に関する信頼区間を構築する。
- 出品者の期待収益の推論: 取引価格のみを用いて、出品者の期待収益に関する信頼区間を構築する。
- 評価分布の裾野の特性の検定: 取引価格のみを用いて、評価分布の裾野が有界かつ正の密度を持つかどうかを検定する。
これらの推論方法は、取引価格のみを観測できる状況で有効であり、従来の方法では困難であった応用例(オンラインオークション、国債オークション、スペクトラムオークション、アートオークション、IPOオークションなど)に適用できる。
統計
勝者の期待効用は、(P(n) - P(1)) × ˜U(˜P)で表される。
出品者の期待収益は、P(1) + (P(n) - P(1)) × ˜U(˜P)で表される。
評価分布の裾野の特性を検定するための尤度比検定統計量は、f˜Z|ξ1(˜P)/f˜Z|ξ0(˜P)である。