核心概念
本稿では、イラストレーションソフトやPDFのような2次元レイヤードシーンに適した、新規の隠面消去アルゴリズムを提案する。このアルゴリズムは、従来の手法と比較して、レンダリングに必要な計算量を大幅に削減する。
要約
フレーム間コヒーレンスを利用した2次元隠面消去
本稿では、インタラクティブな画像編集やAdobeのPDFのような標準フォーマットで使用される、2次元レイヤードシーンを描画するための新しいソフトウェアベースの手法を提案する。この手法は、3次元および2次元グラフィックスの既存技術と独自の研究を組み合わせることで実現可能なアルゴリズムを開発し、プロトタイプを実装した。
従来の2次元グラフィックスシステムでは、オブジェクトは奥から手前に順番にラスタライズされ、重なり合う部分は後の画像で上書きされる「ペインターのアルゴリズム」が一般的であった。しかし、この手法では、最終的に隠れてしまうオブジェクトも完全に計算されるため、無駄な処理が発生する。アンチエイリアスや半透明処理を行う場合は、さらに計算量が増加する。
提案する手法では、レンダリングの順序を手前から奥に反転させ、オブジェクトの形状と可視領域の情報を保持することで、最終的な画像に寄与しないピクセルの計算を省略する。これにより、ラスタライズ、アンチエイリアス、合成処理の計算量を大幅に削減できる。