核心概念
デザイン初心者がデザイン問題を独立して特定するためには、質問スキルが重要であるが、その育成は課題となっている。大規模言語モデルを活用したロールプレイングインタラクションを通じて、デザイン初心者の質問スキル向上を探索する。
要約
本研究は、デザイン初心者がデザイン問題を独立して特定するためのスキルである質問スキルの育成を目的としている。デザイン思考プロセスにおいて、デザイン問題の特定は重要な工程だが、経験の少ないデザイン初心者にとっては課題となっている。
研究では、大規模言語モデルを活用したロールプレイングインタラクションを提案し、実際の大学デザインクラスの16名の学生を対象に予備的な検証を行った。その結果、大規模言語モデルを活用したインタラクションは、学生の質問を促進し、質問への圧力を軽減する一方で、言語モデルの回答への過度の依存も招いてしまうことが明らかになった。
今後の研究では、大規模言語モデルの知識範囲の調整、学生の質問内容の即時的な振り返りと適切な質問の指導、デザイン問題特定に適した質問の促進など、大規模言語モデルを活用したデザイン教育ツールの設計上の課題について検討していく必要がある。
統計
参加者16名が合計172の入力を行い、1人あたり平均10.8個(標準偏差4.5)の入力を行った。
1つの入力は平均13.6単語(標準偏差10.4)で構成されていた。
156の質問のうち、53個(標準偏差2.4)がLLQ(Low-level Questions)、43個(標準偏差2.3)がDRQ(Deep Reasoning Questions)、60個(標準偏差2.3)がGDQ(Generative Design Questions)であった。
引用
"LLMは実在の人間ではないため、できるだけ厳しい質問をしようと試みた。人間相手だと罪悪感を感じてしまうが、LLMなら気にせずに質問できた。" (P1)
"最初は漠然とした質問をしていたが、LLMの回答を見て、教授がどのような質問をするかを思い出し、それに倣って質問するようになった。" (P15)