非線形観測モデルと非線形予測モデルを持つ問題に対して、予測量の不確実性を最小化する目的指向型ベイズ最適実験設計手法を提案する。マルコフ連鎖モンテカルロと核密度推定を組み合わせた nested Monte Carlo推定量を用いて、予測量の期待情報利得を効率的に計算し、ベイズ最適化により最適な実験設計を見つける。
要約
本論文では、非線形観測モデルと非線形予測モデルを持つ問題に対する目的指向型ベイズ最適実験設計(GO-OED)手法を提案している。
まず、従来のベイズ最適実験設計では、モデルパラメータの不確実性を最小化することが目的であったのに対し、本手法では予測量の不確実性を最小化することが目的となる。これにより、実験の目的に直接関連した最適設計が得られる。
具体的な数値計算手法として、nested Monte Carlo推定量を提案している。外側ループでは観測データを、内側ループではパラメータサンプルを生成し、マルコフ連鎖モンテカルロによりパラメータ事後分布をサンプリングする。得られたパラメータサンプルを予測モデルに通して予測量の事後分布を推定し、その事前事後分布のKLダイバージェンスを計算することで、予測量の期待情報利得を近似する。この期待情報利得を最大化する実験設計をベイズ最適化により求める。
提案手法を様々な数値例に適用し、従来の非目的指向型手法との違いを示している。特に、予測量が観測モデルのパラメータと一対一に対応しない場合に、両者の最適設計が大きく異なることを明らかにしている。また、2次元設計空間や物理モデルを含む例題でも有効性を示している。
Goal-Oriented Bayesian Optimal Experimental Design for Nonlinear Models using Markov Chain Monte Carlo
"従来のベイズ最適実験設計では、モデルパラメータの不確実性を最小化することが目的であったのに対し、本手法では予測量の不確実性を最小化することが目的となる。"
"nested Monte Carlo推定量を提案しており、外側ループでは観測データを、内側ループではパラメータサンプルを生成し、マルコフ連鎖モンテカルロによりパラメータ事後分布をサンプリングする。"
"提案手法を様々な数値例に適用し、従来の非目的指向型手法との違いを示している。特に、予測量が観測モデルのパラメータと一対一に対応しない場合に、両者の最適設計が大きく異なることを明らかにしている。"