核心概念
仮想現実環境における場面の複雑さ、作業負荷、臨場感、サイバーシックネスの相関関係は複雑で、課題の性質が大きな影響を及ぼす可能性がある。作業負荷と臨場感が場面の複雑さの影響を上回り、サイバーシックネスにも関与する可能性が示唆された。
要約
本研究は、仮想現実(VR)環境における場面の複雑さ、作業負荷、臨場感、サイバーシックネスの相関関係を調査した。44人の参加者がペンデュラムチェアゲームを体験し、簡単な場面と複雑な場面の2つの条件で比較した。
結果は以下の通り:
場面の複雑さ(光の流れや馴染みの度合い)に違いがあったにもかかわらず、作業負荷と臨場感に有意な差はなかった。等価性検定の結果、作業負荷と臨場感は両条件で等価であることが示された。
サイバーシックネスについても同様に、両条件で等価であった。
作業負荷とサイバーシックネスの間には中程度の負の相関が見られた。一方で、臨場感とサイバーシックネス、作業負荷と臨場感の間には有意な相関は見られなかった。
これらの結果は、課題の性質が場面の複雑さの影響を上回る可能性を示唆している。つまり、同じ課題を行う場合、場面の複雑さの違いが作業負荷や臨場感、サイバーシックネスに大きな影響を及ぼさない可能性がある。一方で、作業負荷がサイバーシックネスを抑制する可能性も示唆された。
今後の研究では、課題の性質とその影響、作業負荷とサイバーシックネスの関係性をさらに詳しく調べる必要がある。VR体験の最適化には、これらの要因を考慮することが重要だと考えられる。
統計
簡単な場面の作業負荷の平均は10.89±3.20、複雑な場面の作業負荷の平均は10.55±3.40であった。
簡単な場面の臨場感の平均は98.54±13.48、複雑な場面の臨場感の平均は101.09±19.17であった。
簡単な場面のサイバーシックネススコアの平均は64.77±40.53、複雑な場面のサイバーシックネススコアの平均は52.02±32.38であった。