核心概念
VRゲームにおいて、操作方式(コントローラーとハンドトラッキング)と遊戯時間の長短が、ユーザー体験に及ぼす影響を明らかにした。コントローラーは全般的に優れており、長時間のゲームプレイはプレゼンス感と現実感を高めることが示された。一方で、VR経験の豊富なユーザーほどハンドトラッキングを他者に推奨する傾向にあり、予想に反する結果となった。
要約
本研究は、VRゲームにおける操作方式(コントローラーとハンドトラッキング)と遊戯時間の長短が、ユーザー体験に及ぼす影響を調査した。
実験では、Meta Quest 2を使用し、短時間(3分)のパズルゲーム「Cubism」と長時間(9分)のインタラクティブナラティブゲーム「Vacation Simulator」を実施した。参加者20名に対し、操作方式と遊戯時間を組み合わせた4つの条件で体験させ、プレゼンス感、感情反応、ユーザー体験の質、フロー状態などを評価した。
結果、操作方式と遊戯時間は独立して影響を及ぼし、両者に交互作用は見られなかった。コントローラーは全般的に優れており、長時間のゲームプレイはプレゼンス感と現実感を高めることが示された。一方で、ハンドトラッキングは操作の正確性や安定性に課題があり、ユーザー体験を損なう要因となった。
興味深いことに、VR経験の豊富なユーザーほどハンドトラッキングを他者に推奨する傾向にあり、予想に反する結果となった。これは、経験豊富なユーザーがハンドトラッキングの限界を受け入れる傾向にあることを示唆している。
本研究の結果は、VRゲームにおける操作方式の選択と、ゲームデザインにおける遊戯時間の設定に示唆を与えるものである。今後の技術進歩に伴い、ハンドトラッキングの活用が広がることが期待される。
統計
コントローラーを使用した場合の方が、ハンドトラッキングを使用した場合よりも、プラグマティック品質が有意に高かった(平均差0.369, 95%信頼区間0.060 - 0.677)。
短時間のゲームプレイでは、明確な目標設定が長時間のゲームプレイよりも有意に高かった(平均差0.469, 95%信頼区間0.108 - 0.829)。
短時間のゲームプレイでは、コントロール感が長時間のゲームプレイよりも有意に高かった(平均差0.425, 95%信頼区間0.076 - 0.774)。
コントローラーを使用した場合の方が、ハンドトラッキングを使用した場合よりも、コントロール感が有意に高かった(平均差0.513, 95%信頼区間0.236 - 0.789)。
引用
"コントローラーは正確性と信頼性が高く、使いやすい"
"ハンドトラッキングは革新的で没入感が高いが、現時点では技術的な限界がある"
"ハンドトラッキングには遅延があり、物体を掴む感触がない"