核心概念
多モーダル深層学習モデルを用いることで、分子検査単独に比べて偽陽性を減らしつつ高い感度を維持できる。これにより、不確定な甲状腺結節を持つ患者の不要な外科手術を削減できる可能性がある。
要約
本研究では、UCLA医療センターで不確定な甲状腺結節と診断された333人の患者データを用いて、超音波画像と分子検査の結果を組み合わせた多モーダルの深層学習モデルを開発した。
- 分子検査単独では感度が高いものの偽陽性率も高かったが、提案モデルでは分子検査と同等の感度を維持しつつ偽陽性率を有意に改善できた。
- 注意機構付き多重インスタンス学習(AMIL)を用いることで、超音波画像の中で特に診断に寄与する領域を可視化できる。
- 提案モデルの最終的な精度はAUROC 0.831、正解率 0.757、感度 0.946、特異度 0.703、陽性的中率 0.477となり、分子検査単独と比べて有意な改善が見られた。
- 不確定な甲状腺結節を持つ患者の過剰治療を削減し、不要な外科手術を避けられる可能性がある。
統計
本研究の対象となった333人の患者のうち、259人が良性、74人が悪性の結節であった。
男性は全体の20%程度を占めていた。
良性結節の患者の39%が外科手術を受けた一方で、悪性結節の患者は全員が外科手術を受けていた。
分子検査の結果、良性結節の33.5%、悪性結節の93.4%が陽性と判定された。
引用
"分子検査は不確定な甲状腺結節の良悪性を判断する上で有用だが、偽陽性率が高いため、更なる診断支援ツールが必要とされている。"
"提案モデルは分子検査と同等の高い感度を維持しつつ、偽陽性率を有意に改善できた。これにより、不要な外科手術を削減できる可能性がある。"
"注意機構付き多重インスタンス学習を用いることで、超音波画像の中で診断に寄与する領域を可視化できる。これにより、モデルの判断根拠を臨床医に提示できる。"