核心概念
査読レポートの長さが長いほど、その論文の引用数が増加する。
要約
本研究は、査読レポートの長さと論文の引用数の関係を分析したものである。
まず、Publons データベースから57,482件の論文データを抽出し、Web of Science (WoS) データベースの構造に合わせて調整した。論文の引用数を従属変数とし、査読レポートの長さを主要な説明変数とした回帰分析を行った。
分析の結果、以下の知見が得られた:
- 947語以上の査読レポートは、論文の引用数の有意な増加と関連していた。
- その他の要因(オープンアクセス、資金提供、国際共著、掲載誌インパクトファクターなど)も論文の引用数に影響を与えていた。
- これらの結果は、より詳細で建設的な査読コメントが論文の質と可視性を高め、引用数の増加につながることを示唆している。
また、査読プロセスの透明性向上が、査読者の行動に影響を与え、より丁寧な査読につながる可能性も示唆された。
一方で、Publons データには選択バイアスが存在する可能性があり、一般化には注意が必要である。今後は、オープンピアレビューを実践する学術誌のデータを用いた分析などが求められる。
統計
947語以上の査読レポートは、論文の引用数の有意な増加と関連していた。
オープンアクセス論文は、非オープンアクセス論文に比べて引用数が多かった。
資金提供を受けた論文は、資金提供を受けていない論文に比べて引用数が多かった。
国際共著論文は、単一国の論文に比べて引用数が多かった。
高インパクトファクターの学術誌に掲載された論文は、低インパクトファクターの学術誌に掲載された論文に比べて引用数が多かった。
引用
"より詳細で建設的な査読コメントが論文の質と可視性を高め、引用数の増加につながる可能性がある。"
"査読プロセスの透明性向上が、査読者の行動に影響を与え、より丁寧な査読につながる可能性がある。"