核心概念
科学的発見の知識が分野を超えて流動し、他分野で応用されることが多いことを明らかにした。分野間知識流動は分野内知識流動よりも一般的に高い学術的インパクトを持つ。
要約
本研究は、2015年に発表された論文を対象に、引用関係を分析することで、分野間知識流動と分野内知識流動の実態を明らかにした。
主な知見は以下の通り:
全体として、論文の9%が同一分野内で引用されているのに対し、17.2%が異分野から引用されている。つまり、論文の知識は自分の分野を超えて広く活用されている。
分野によって差異があり、数学や人文科学分野では分野内引用が多いが、生物医学分野や化学分野では分野外引用が多い。
分野外から引用される論文は、分野内から引用される論文に比べて、平均的に20%高い学術的インパクトを持つ。引用元の分野数が多いほど、論文のインパクトが高くなる。
論文が発表後2年以内の引用では、分野内引用の割合が高いが、7年経過すると分野外引用の割合が高くなる。ただし、数学や人文科学分野は例外的に分野内引用が高い。
これらの知見は、学際的な研究の重要性や、研究評価における分野間の知識流動の考慮の必要性を示唆している。
統計
論文の分野内引用率が50%を超える論文は全体の29.1%である。
分野別では、数学が53.6%、人文科学が43.9%と高い一方、生物医学研究や化学は20%台にとどまる。
引用
"科学的発見の知識が分野を超えて流動し、他分野で応用されることが多い"
"分野外から引用される論文は、分野内から引用される論文に比べて、平均的に20%高い学術的インパクトを持つ"