核心概念
可視画像データのみを使用して自動的に火星の霜を検出するCNNモデルを開発し、地質学的コンテキストによる検出性能の偏りを評価した。
要約
本研究では、火星の北中緯度地域における過去の霜観測データを使用して、CNNモデルによる火星の霜検出手法を開発した。
霜の存在を示す可視的特徴(一様な高アルベド、多角形の模様、ハロー、砂丘上の融解痕跡など)を検出するモデルを構築した。
同一地点の繰り返し観測データを活用し、夏季の霜のない画像を負例、冬季の霜のある画像を正例として学習を行った。
地質学的コンテキスト(砂丘、渓谷、クレーター縁/壁、その他)ごとの検出性能を評価したところ、砂丘上の霜検出精度が低下する傾向が見られた。
これは、砂丘上の霜の外観が多様であり、観測条件の違いによる影響を受けやすいためと考えられる。
今後は、訓練データの多様性を高めたり、明るさや コントラストの増強データ拡張を行うことで、地形依存性の低減を目指す。
統計
火星の北中緯度地域における過去の霜観測データを使用した。
訓練データ: 霜のある画像タイル12,657枚、霜のない画像タイル11,110枚
テストデータ: 霜のある画像タイル4,326枚、霜のない画像タイル3,674枚