核心概念
時間依存偏微分方程式の解法において、U-Netアーキテクチャの特徴マップの時間的ミスアラインメントが課題となる。本研究では、この課題に対処するためSineNetアーキテクチャを提案し、複数の流体力学データセットにおいて優れた性能を示す。
要約
本研究では、時間依存偏微分方程式(PDE)の解法に深層学習を適用する際の課題に取り組んでいる。
特に、U-Netアーキテクチャを用いた既存手法では、入力と出力の特徴マップ間のミスアラインメントが生じ、性能が限られることが分析されている。
そこで本研究では、SineNetと呼ばれる新しいアーキテクチャを提案している。SineNetは、複数のU-Netブロック(wave)を順次接続することで、各waveの担当する時間範囲を小さくし、ミスアラインメントを軽減する。
さらに、各waveにおいて並列処理と順次処理の両方のメカニズムを組み込むことで、マルチスケール情報の効率的な処理を実現している。
提案手法は、非圧縮性ナビエ・ストークス方程式、圧縮性ナビエ・ストークス方程式、浅水方程式などの複数の流体力学データセットで評価され、既存手法に比べて優れた性能を示している。
また、waveの数を増やすことで性能が単調に向上することも確認されている。
以上の結果から、SineNetは時間依存PDEの深層学習ソルバー設計において有効な手法であることが示された。
統計
非圧縮性ナビエ・ストークス方程式の速度場と圧力場の時間発展を記述するデータセットを使用
圧縮性ナビエ・ストークス方程式のデータセットでは、粘性係数を1×10^-8、初期マッハ数を0.1に設定
浅水方程式のデータセットでは、大気中の風速と圧力場の時間発展を記述