核心概念
基礎モデルを軽微にファインチューニングした際、ランダムな線形ヘッド初期化のみが、モデル間の「同意度線上」の現象を確実に引き起こすことを示す。また、異なる基礎モデルをファインチューニングしたアンサンブルでも「同意度線上」の現象が観察できることを示す。これにより、適切な手法でアンサンブルを構築すれば、「同意度線上」の手法を使って基礎モデルの性能を高精度に予測できる。
要約
本研究は、基礎モデル(Foundation Model)の性能を、ラベルのない外部分布データを用いて予測する手法について検討している。
まず、単一の基礎モデルから複数のモデルをファインチューニングする際の手法を検討した。ランダムな線形ヘッド初期化、データ順序のランダム化、データサブセットのランダム化の3つの手法を試した。その結果、ランダムな線形ヘッド初期化のみが、モデル間の「同意度線上」の現象を確実に引き起こすことがわかった。他の2手法では、モデル間の予測が高い相関を示し、「同意度線上」の現象が観察されなかった。
次に、異なる基礎モデルをファインチューニングしたアンサンブルについて検討した。基礎モデルが異なれば、同じ性能でも外部分布での振る舞いが異なる可能性がある。しかし、言語タスクでは、OPT、GPT2、Llama等の基礎モデルをファインチューニングしたアンサンブルでも「同意度線上」の現象が観察された。
以上の結果から、ランダムな線形ヘッド初期化によってアンサンブルの多様性を確保するか、異なる基礎モデルをファインチューニングすることで、「同意度線上」の手法を使って基礎モデルの性能を高精度に予測できることが示された。
Predicting the Performance of Foundation Models via Agreement-on-the-Line
統計
基礎モデルのin-distributionとout-of-distributionの正解率の間には強い線形相関がある。
基礎モデルのin-distributionとout-of-distributionの「同意度」の間にも強い線形相関がある。
ランダムな線形ヘッド初期化を行うと、「同意度線上」の現象が確実に観察される。
データ順序のランダム化やデータサブセットのランダム化では、「同意度線上」の現象が観察されない。
引用
基礎モデルは、大規模な前学習後に少量のファインチューニングを行うため、従来の深層学習モデルとは異なる特性を示す可能性がある。
基礎モデルのファインチューニングにおいて、ランダムな線形ヘッド初期化は、モデル間の多様性を生み出す重要な要因である。
深掘り質問
基礎モデルの性能予測において、「同意度線上」の手法以外にどのような手法が考えられるか
「同意度線上」の手法以外に、基礎モデルの性能予測にはいくつかの代替手法が考えられます。例えば、モデルの信頼度を利用した手法や、未ラベルデータを使用して外部分布での性能を予測する手法があります。信頼度ベースの手法では、モデルの信頼度を調整して外部分布での性能を予測します。一方、未ラベルデータを使用する手法では、モデル間の同意度を計測し、その情報を利用して外部分布での性能を推定します。これらの手法は、同意度線上の手法と比較して異なるアプローチを取りますが、基礎モデルの性能予測に有用な情報を提供することができます。
基礎モデルの前学習に使用するデータの違いが、ファインチューニング後の性能にどのような影響を与えるか
基礎モデルの前学習に使用するデータの違いは、ファインチューニング後の性能に大きな影響を与える可能性があります。異なるデータセットや異なる学習方法で前学習されたモデルは、異なる特性や特性を持つことがあります。そのため、同じファインチューニング手法を使用しても、異なる前学習データを持つモデルは異なる性能を示す可能性があります。特定のタスクやデータセットに適した前学習データを使用することで、ファインチューニング後の性能を向上させることができると考えられます。
基礎モデルの性能予測と、モデルの解釈性や説明可能性の関係はどのように考えられるか
基礎モデルの性能予測とモデルの解釈性や説明可能性の関係は重要です。性能予測手法がモデルの内部動作や意思決定プロセスを説明することができれば、モデルの信頼性や適用可能性を向上させることができます。逆に、性能予測手法がモデルの内部をブラックボックス化し、説明不可能にする可能性もあります。したがって、性能予測手法を選択する際には、モデルの解釈性や説明可能性を考慮することが重要です。モデルの性能予測が説明可能であれば、ユーザーやステークホルダーがモデルの結果や意思決定を信頼しやすくなります。