核心概念
本論文では、不完全な channel state information (CSI)の下で、複数の受信機を有する通信システムにおいて、送信ビームフォーミングと双方向のアンテナ移動を統合的に最適化することで、合計レート性能を最大化する。
要約
本論文では、可移動アンテナ(MA)を用いた多受信機通信システムを検討している。具体的には、不完全CSIの下で、送信ビームフォーミングと双方向(送受信)のアンテナ移動を統合的に最適化することで、全受信機の合計レート性能を最大化することを目的としている。
まず、この問題を定式化し、その上界を導出している。しかし、この問題は非凸であり、従来の最適化手法では効率的に解くことができない。そこで、ヘテロジニアスなマルチエージェントの深層強化学習(MADDPG)アルゴリズムを提案している。このアルゴリズムでは、ビームフォーミングエージェントとMAエージェントの2つのエージェントを設け、それぞれビームフォーミングポリシーとアンテナ移動ポリシーを学習する。オフラインでの学習を通じて、提案手法は不完全CSIの下でも、送信ビームフォーミングとアンテナ移動の最適な解を実時間で出力することができる。
シミュレーション結果より、提案手法は他の手法と比べて、大幅な合計レート性能の向上を実現できることが示されている。特に、アンテナ移動領域の大きさや信号対雑音比が大きい場合に、その性能差が顕著になることが確認された。
統計
送信機と受信機k間のl番目のパスの到来角(AoA)とは離角(AoD)は、それぞれθl
r,k、ϕl
r,kとθl
t,k、ϕl
t,kで表される。
受信機kにおける実際のチャネル行列Hkは、完全CSIの下で式(4)のように表される。
推定チャネル行列ˆ
Hkと実際のチャネル行列Hkの誤差∆Hkは、式(7)のように表され、CSCG変数としてモデル化される。