核心概念
Beyond Diagonal RIS (BD-RIS)を用いることで、従来のRISと比べて広帯域チャネル容量を大幅に向上させることができる。ただし、静的パスや直接波が優位な場合はその効果が小さくなる。
要約
本論文では、BD-RISを用いた広帯域SISO-OFDM通信システムのモデル化と容量最大化アルゴリズムを提案している。
まず、RIS要素間の相互作用を考慮した広帯域チャネルモデルを導出した。これにより、従来のRISモデルとは異なる周波数特性を持つチャネル表現が得られた。
次に、BD-RISの反射行列を最適化することで広帯域チャネル容量を最大化するアルゴリズムを提案した。このアルゴリズムは、まず全サブキャリアの総チャネルゲインを最大化し、その後水充填法によるパワー配分を行う。
シミュレーション結果より、提案手法はベンチマーク手法と比べて大幅な容量向上を実現できることが示された。特に、静的パスがなく直接波が弱い場合に顕著な効果が得られた。一方で、静的パスや直接波が優位な場合はその効果が小さくなることも明らかになった。
統計
広帯域チャネル容量は、静的パスがなく直接波が弱い場合に最大で50%向上した。
静的パスがある場合、Rician κ因子が10以上では従来RISと同等の性能となった。