核心概念
農村地域における無線チャネルの特性を気象条件、湿度、温度、農場建物の影響に着目して包括的に分析した。
要約
本研究は、アイオワ州立大学のARAワイヤレスリビングラボを活用し、アイオワ州アームズ近郊の作物農場と畜産農場において、TVWSバンドと中帯域の無線チャネルの測定を行った。
- 雨量、雨粒径、湿度、温度などの気象データと無線チャネルの特性(パスロス、SNR、スループット、遅延)の関係を分析した。
- 雨量が増加するとパスロスが増加するが、ITU-Rモデルよりも大きな減衰が観測された。これは、アンテナ表面の水の影響が考えられる。
- 湿度とパスロスには強い負の相関があり、温度とパスロスには正の相関があることが分かった。周波数帯によって相関の強さが異なる。
- 農場の建物(穀物倉庫、ハウス、牛舎など)による遮蔽損失を測定した。建物の向きや開口部の有無によって遮蔽損失が大きく変化することが分かった。
- 本研究で収集したデータセットは、無線チャネルのモデリングや最適化アルゴリズムの研究に役立つ貴重なリソースとなる。
統計
最大雨量時の中帯域受信電力は無雨時と比べて1.49 dB低下した。
最大雨量時のTVWSバンド受信電力は無雨時と比べて1.09 dB低下した。
中帯域とTVWSバンドの受信電力と湿度の相関係数は、それぞれ-0.94と-0.55であった。
中帯域の受信電力と温度の相関係数は0.38、TVWSバンドは0.91であった。
金属製の農業機械倉庫による中帯域の追加パスロスは最大24 dB、TVWSバンドは10 dB以上であった。
羊舎の南側では中帯域で18 dB以上、TVWSバンドで10 dB以上の追加パスロスが観測された。
引用
"雨量が増加するとパスロスが増加するが、ITU-Rモデルよりも大きな減衰が観測された。これは、アンテナ表面の水の影響が考えられる。"
"湿度とパスロスには強い負の相関があり、温度とパスロスには正の相関があることが分かった。周波数帯によって相関の強さが異なる。"
"金属製の農業機械倉庫による中帯域の追加パスロスは最大24 dB、TVWSバンドは10 dB以上であった。"
"羊舎の南側では中帯域で18 dB以上、TVWSバンドで10 dB以上の追加パスロスが観測された。"