核心概念
本論文は、鋼橋構造物の亀裂画像のセグメンテーションを支援するための半自動ツールを提案する。このツールは、人手による入力を活用することで、完全自動の画像処理手法よりも高精度な亀裂検出を実現する。
要約
本論文では、鋼橋構造物の亀裂画像のセグメンテーションを支援するための半自動ツールを提案している。
まず、亀裂の経路追跡アルゴリズムを説明する。ユーザーが亀裂の始点と終点を手動で選択すると、方位スコアを活用した最短経路探索アルゴリズムによって、亀裂の経路が自動的に検出される。
次に、亀裂の幅検出アルゴリズムを2つ提案する。1つは幅拡張(WE)アプローチ、もう1つは端部追跡(ET)アプローチである。WEアプローチは舗装の亀裂などの不規則な形状の亀裂に適しており、ETアプローチは鋼構造物の亀裂のように滑らかな形状の亀裂に適している。
提案手法は、完全自動の画像処理手法よりも高精度な亀裂検出を実現する。AigleRNデータセットとオランダの鋼橋構造物データセットを用いた評価実験では、提案手法の優れた性能が示された。
特に、鋼橋構造物の亀裂画像では、提案手法のETアプローチが最も良好な結果を示した。これは、方位スコアを活用した経路追跡によって、亀裂以外の構造物の影響を排除できるためである。
提案手法は、機械学習アルゴリズムの教師データ作成ツールとしての活用や、亀裂の幾何学的パラメータ計測への応用が期待できる。
統計
鋼橋構造物の亀裂画像データセットにおいて、提案手法のETアプローチは以下の性能を示した:
精度: 0.86
再現率: 0.85
F1値: 0.83