核心概念
本研究では、眼科医療データを統合し、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞(RVO)の3つの疾患について、少なくとも4回の視力検査に基づいて患者の視力推移を予測することができる。提案する多段階システムでは、深層ニューラルネットワークのアンサンブルを用いて不完全なOCT文書を補完し、より正確な視力モデリングを可能にする。
要約
本研究は、眼科医療データの統合と分析に関するものである。以下に主な内容をまとめる。
- 眼科医療データの統合
- 電子カルテシステム(EHR)、臨床情報システム(CIS)、OCTシステムから患者情報を統合
- 一般情報、視力、OCTバイオマーカー、疾患、治療などのカテゴリーに分類
- 記述統計
- AMD、DME、RVOの3疾患について、時間経過に伴う視力の変化を分析
- 視力の改善、安定、悪化の3群(WSL分類)に分類
- 統計的に有意な視力悪化が特にAMDで確認された
- OCTバイオマーカー分類
- 深層学習を用いたアンサンブルモデルにより、OCTバイオマーカーの分類精度を98%以上に向上
- 不完全なOCT文書の補完を可能にし、より正確な視力モデリングに活用
- 視力予測
- 少なくとも4回の視力検査と必要に応じてOCTバイオマーカーデータを用いて、IVOM治療/無治療時の視力推移を予測
- 提案モデルの予測精度はマクロF1スコアで69%、医師の予測精度と同等レベル
統計
AMDにおいて、6年以上の経過では60%以上の患者が視力悪化群(losers)に分類される。
RVOでは視力悪化の統計的有意差は見られなかった。
DMEでは3年以上の経過で視力悪化が統計的に有意であった。