核心概念
インドでは、1981年から2011年にかけて識字率が大幅に向上したものの、都市部と農村部の教育格差は依然として深刻であり、女性の結婚年齢、農村部の女性の識字率、農村部の女性の労働参加率などが、この格差の縮小に寄与する重要な要因である。
要約
インドにおける教育達成度の都市部と農村部の格差:時空間分析
本論文は、1981年から2011年までのインドの15の州における都市部と農村部の識字率の差異を分析し、その差異を縮小する可能性のある要因を調査したものである。
インドにおける識字率の現状
- 1981年から2011年にかけて、インドの識字率は41%から74%へと大幅に向上した。
- しかし、都市部と農村部の間には依然として大きな格差が存在し、2011年の国勢調査によると、都市部の非識字率は約8%であるのに対し、農村部では約19%に達している。
- 特に、ラジャスタン州、マディヤ・プラデーシュ州、ビハール州では、都市部と農村部の識字率の格差が大きい。
都市部と農村部の識字率の格差を縮小する要因
本研究では、固定効果ダミー変数モデルを用いて、都市部と農村部の識字率の格差を縮小する可能性のある要因を分析した。その結果、以下の4つの要因が、農村部の識字率向上に効果があると示唆された。
- 農村部の女性の出生率の低下: 出生率の低下は、1世帯あたりの子供の数が減り、家計の教育費負担が軽減され、子供が学校に通う機会が増えることにつながる。
- 農村部の女性の結婚年齢の遅延: 女性が21歳以降に結婚する場合、教育を受ける期間が長くなり、結果として都市部と農村部の教育格差の縮小につながる。
- 農村部の女性の識字率の向上: 母親が識字であることは、子供の教育に対する意識を高め、教育を受けさせる可能性を高める。
- 農村部の女性の労働参加機会の拡大: 経済的に自立した女性は、子供の教育に投資する可能性が高く、都市部と農村部の識字率の格差を縮小するのに役立つ。
結論と政策的含意
本研究の結果は、インドにおける都市部と農村部の教育格差を縮小するためには、農村部の女性のエンパワメント、特に教育の重要性を認識し、女性の社会進出を促進する政策が必要であることを示唆している。
統計
1981年から2011年にかけて、インドの識字率は41%から74%に向上した。
2011年の国勢調査によると、都市部の非識字率は約8%であるのに対し、農村部では約19%に達している。
2011年の農村部の合計特殊出生率は2.7であるのに対し、都市部では1.9である。