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MS患者由来PBMCヒト化マウスにおける自発的および誘導性のCD8 T細胞病変


核心概念
HLA-DR15陽性MS患者由来PBMCをB2m-NOGマウスに移植すると、自発的および誘導性の脳脊髄CD8 T細胞病変が発症する。
要約

本研究では、HLA-DR15陽性MS患者およびHLA-DR15陽性健常者由来PBMCをB2m-NOGマウスに移植し、中枢神経系(CNS)への免疫細胞浸潤を解析した。

非免疫化DR15 MS患者由来マウスでは、脳辺縁部および脊髄実質にヒトCD8 T細胞の集積が見られ、一部のマウスでは脳幹および脊髄灰白質に自発的なT細胞病変が発症した。一方、DR15健常者由来マウスでは、脳辺縁部への軽度のT細胞浸潤のみが観察された。

免疫化実験では、DR15 MS患者由来マウスで脳白質および灰白質に大きな免疫細胞病変が誘導された一方、DR15健常者由来マウスでは脊髄白質への軽度のT細胞浸潤が見られるのみであった。

これらの結果は、HLA-DR15陽性MS患者由来PBMCヒト化マウスが、MS病態の一部を再現できる有用なモデルであることを示している。ただし、ヒト単球の低い engraftment や脱髄の欠如など、さらなる改良が必要である。

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統計
非免疫化DR15 MS患者由来マウスの脳実質および脊髄灰白質に自発的なヒトCD8 T細胞病変が観察された。 免疫化DR15 MS患者由来マウスでは、脳白質および灰白質に大きな免疫細胞病変が誘導された。 免疫化DR15健常者由来マウスでは、脊髄白質への軽度のT細胞浸潤が見られるのみであった。
引用
HLA-DR15は最も強いMS関連遺伝子リスク因子である。 MS病変では、CD8 T細胞とモノサイトが主要な浸潤細胞であり、CD4 T細胞は比較的少ない。 EAEモデルではCD4 T細胞が主体であり、MS病態との違いが指摘されている。

深掘り質問

HLA-DR15陽性MS患者由来PBMCヒト化マウスにおける自発的および誘導性のCD8 T細胞病変の発症機序は何か。

この研究では、HLA-DR15陽性のMS患者由来のPBMCを移植したB2m-NOGマウスにおいて、脳と脊髄におけるCD8陽性T細胞の病変が観察されました。特に、DR15 MSマウスは脳と脊髄の灰白質において自発的なhCD8 T細胞病変を示しました。さらに、ミエリンペプチドの免疫化により、脳と脊髄におけるhCD4 T細胞の浸潤が増加し、脳ではhCD4/hCD8 T細胞の混合病変が観察されました。これらの結果から、HLA-DR15陽性のMS患者由来のPBMCは、脳と脊髄におけるCD8 T細胞病変の発症に関与することが示唆されました。

HLA-DR15以外の遺伝的背景がMS病態に及ぼす影響はどのようなものか。

HLA-DR15以外の遺伝的背景がMS病態に及ぼす影響は、この研究においても観察されました。具体的には、HLA-DR13陽性のMS患者由来のPBMCを移植したマウスでは、脳や脊髄における免疫細胞の浸潤が少なく、病変の形成も観察されませんでした。これに対して、HLA-DR15陽性の健康な個体由来のPBMCを移植したマウスでは、脳や脊髄における免疫細胞の浸潤が増加し、病変が形成されました。したがって、HLA-DR15以外の遺伝的背景は、MS病態における免疫応答や病変形成に影響を与える可能性があります。

ヒト単球の低い engraftment や脱髄の欠如を克服するためにはどのようなアプローチが考えられるか。

ヒト単球の低い engraftment や脱髄の欠如を克服するためには、いくつかのアプローチが考えられます。まず、新しい免疫不全マウス株の開発が重要です。これらのマウス株は、ヒト単球の engraftment を促進し、脳や脊髄における炎症反応や脱髄の模倣を可能にする可能性があります。さらに、リンパ節の構造と機能を改善することも重要です。リンパ節の組織化が進むことで、抗原提示や免疫応答がより効果的に行われる可能性があります。また、EBV感染との関連性を考慮した研究も重要です。EBV感染はMSの病態に重要な役割を果たしており、EBV感染とHLA-DR15陽性の関連性が示唆されています。したがって、EBV感染とHLA-DR15陽性の影響を考慮したアプローチが、ヒト単球の engraftment や脱髄の欠如を克服するために有効である可能性があります。
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