核心概念
腹側傍顔面領域(pFL)の異なる部位にビククリンを注入することで、能動呼吸の発生に関与する中心領域が特定された。特に、顔面神経核尾側端より前方0.6 mm及び0.8 mmの部位で最も強力かつ持続的な呼吸反応が観察された。
要約
本研究では、ビククリン(GABA-A受容体拮抗薬)を腹側傍顔面領域(pFL)の様々な部位に注入し、GABAergic抑制の解除が呼吸に及ぼす影響を調べた。
- ビククリン注入はすべての部位で能動呼吸を誘発したが、反応の強さは前後軸方向で変化した。
- 最も前方の部位(顔面神経核尾側端より前方0.6 mm及び0.8 mm)で最も強力かつ持続的な1回換気量、分時換気量、呼吸反応の変化が観察された。
- 多変量解析により、呼吸サイクルの変化を詳細に解析したところ、0.8 mm部位では呼吸後期相と呼吸後相の変化が最も顕著であり、0.6 mm部位では吸気相の変化が最も大きかった。
- これらの結果は、能動呼吸の発生に関与する中心領域が顔面神経核尾側端より前方0.6-0.8 mmの範囲に存在することを示唆している。
統計
最大1回換気量は、-0.2 mm群(7.0 ± 0.4 ml/kg)に比べ、+0.6 mm群(10.8 ± 0.5 ml/kg)で29%増加した。
最大分時換気量は、-0.2 mm群(255.4 ± 16.2 ml/min/kg)に比べ、+0.6 mm群(414.3 ± 22.7 ml/min/kg)で16%増加した。
最大酸素消費量は、-0.2 mm群(17.3 ± 3.3 ml/min/kg)に比べ、+0.6 mm群(11.8 ± 0.8 ml/min/kg)で33%減少した。
VE/VO2比は、+0.6 mm群(34.8 ± 3.0)及び+0.8 mm群(38.7 ± 12.8)で、それぞれ73%及び82%増加した。
引用
"特に、顔面神経核尾側端より前方0.6 mm及び0.8 mmの部位で最も強力かつ持続的な呼吸反応が観察された。"
"多変量解析により、0.8 mm部位では呼吸後期相と呼吸後相の変化が最も顕著であり、0.6 mm部位では吸気相の変化が最も大きかった。"