核心概念
多繊毛細胞は、繊毛軸索の再生に先立って移行域の再組み立てが遅れるが、繊毛先端タンパク質は迅速に再局在する。また、新規タンパク質合成なしでも繊毛の再生が始まるが、完全な再生には新規合成が必要である。
要約
本研究では、ゼノパスの多繊毛細胞を用いて、繊毛の再生メカニズムを明らかにした。
- 繊毛の脱落により、移行域(TZ)と繊毛軸索が同時に失われる。
- 繊毛軸索の再生は迅速に始まるが、TZの再組み立ては遅れる。一方、繊毛先端タンパク質は迅速に再局在する。
- TZ蛋白質B9d1は新規合成を必要とし、既存のプールはない。
- 新規タンパク質合成を阻害すると、繊毛数は減少するが長さは維持される。数学モデルから、繊毛長さが繊毛運動力に大きく寄与することが示された。
- 新規タンパク質合成がない条件下では、細胞は限られたタンパク質プールを特定の基底小体に集中させ、少数の長い繊毛を再生する。
以上より、多繊毛細胞の繊毛再生には、TZの再組み立てよりも繊毛軸索と先端の再生が先行し、新規タンパク質合成が完全な再生に必要であることが明らかになった。
統計
脱繊毛直後の多繊毛細胞では、移行域(TZ)のマーカーB9d1シグナルが完全に消失している。
繊毛再生1時間後でも、B9d1シグナルは検出されないが、アセチル化チューブリンシグナルは回復している。
繊毛再生3時間後には、B9d1シグナルが部分的に回復し、6時間後にはほぼ野生型レベルに達する。
繊毛再生1時間後の多繊毛細胞では、繊毛先端タンパク質のSentanとClampが繊毛全長に局在している。
引用
"脱繊毛により、移行域(TZ)と繊毛軸索が同時に失われる。"
"繊毛軸索の再生は迅速に始まるが、TZの再組み立ては遅れる。"
"TZ蛋白質B9d1は新規合成を必要とし、既存のプールはない。"
"新規タンパク質合成を阻害すると、繊毛数は減少するが長さは維持される。"