核心概念
PA2γはC1QBPと相互作用し、その安定性を高めることで、酸化的リン酸化機能を亢進させ、口腔扁平上皮癌の悪性進行を促進する。
要約
本研究では、口腔扁平上皮癌(OSCC)を主な研究モデルとして、PA2γがC1QBPと相互作用し、その安定性を高めることを明らかにした。この相互作用により、酸化的リン酸化(OXPHOS)機能が亢進し、ATP産生とROS生成が増加することで、OSCC細胞の増殖、遊走、浸潤が促進された。
具体的には以下の知見が得られた:
- PA2γはC1QBPと結合し、その蛋白質レベルを上昇させる。この相互作用はC1QBPのN末端領域を介して行われる。
- PA2γとC1QBPは細胞内のミトコンドリアに共局在し、ミトコンドリアの形態と機能を制御する。PA2γ過剰発現はミトコンドリアの融合を促進し、OXPHOSを亢進させる。
- PA2γによるC1QBPの安定化は、OPA1、MFN1、MFN2、ミトコンドリア呼吸鎖複合体の発現を上昇させ、OXPHOSを促進する。
- PA2γ過剰発現はOSCC細胞の増殖、遊走、浸潤能を高めるが、C1QBPのノックダウンによりこれらの悪性形質が抑制される。
- OSCCの臨床検体において、PA2γとC1QBPの発現は正の相関を示し、両者の高発現は予後不良と関連する。
以上の結果から、PA2γはC1QBPと相互作用してその安定性を高め、ミトコンドリアのOXPHOS機能を亢進させることで、OSCCの悪性進行を促進することが明らかとなった。PA2γとC1QBPは、OSCCの治療と予後予測における有望な標的分子であると考えられる。
統計
ミトコンドリアの形態と機能に関する指標:
ミトコンドリアの空胞数は減少し、稜密度は増加した
ミトコンドリアの長さと面積が増加した
基礎呼吸、最大呼吸、ATP産生が有意に上昇した
ROS産生が有意に増加した
引用
"PA28γは、C1QBPと相互作用してその安定性を高め、ミトコンドリアのOXPHOS機能を亢進させることで、OSCCの悪性進行を促進する。"
"PA28γとC1QBPの発現は正の相関を示し、両者の高発現はOSCC患者の予後不良と関連する。"