核心概念
FABP4は、不飽和脂肪酸によるマクロファージの脂肪蓄積と利用を促進し、乳がんの転移に寄与する。
要約
本研究では、腫瘍関連マクロファージ(TAM)における脂肪蓄積と利用の分子メカニズムを明らかにした。
- 不飽和脂肪酸(OA、LA)は飽和脂肪酸(PA、SA)と比べ、マクロファージにおいて脂肪滴の蓄積を促進する。
- 不飽和脂肪酸はFABP4/C/EBPαシグナル経路を活性化し、中性脂肪合成酵素(GPAT1、DGAT1/2)の発現を誘導することで、脂肪滴の蓄積を促進する。
- FABP4欠損により、不飽和脂肪酸による脂肪蓄積とリポリシスが抑制される。
- FABP4発現のTAMは、不飽和脂肪酸を利用して乳がん細胞の遊走を促進する。
- 乳がん患者の検討では、FABP4発現の高いTAMが腫瘍サイズ、転移、予後不良と関連していた。
以上より、FABP4は不飽和脂肪酸によるTAMの脂肪代謝を調節し、乳がんの転移に寄与することが示された。
統計
不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比べ、マクロファージの酸素消費率を有意に増加させた。
不飽和脂肪酸はマクロファージにおいて、脂肪滴の蓄積を有意に促進した。
LAはマクロファージのGpam1、Dgat1、Dgat2の発現を有意に増加させたが、FABP4欠損により有意に抑制された。
FABP4欠損マクロファージでは、LAによる脂肪滴蓄積、GPAT1/DGAT1発現が有意に減少した。
FABP4発現の高いTAMは、乳がん患者の腫瘍サイズ、転移、予後不良と有意に関連していた。
引用
不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比べ、マクロファージにおいて脂肪滴の蓄積を促進する。
FABP4はC/EBPαを活性化することで、中性脂肪合成酵素の発現を誘導し、脂肪滴の蓄積を促進する。
FABP4欠損はLAによる脂肪蓄積とリポリシスを有意に抑制する。
FABP4発現の高いTAMは、乳がんの転移と予後不良と関連する。