本研究では、運動イメージおよび実行課題の分類を例に、事後説明手法であるGrad-CAMを用いて、EEGモデルの予測結果を神経生理学的知見に基づいて検証することを提案している。
まず、全64チャンネルのEEGデータを用いてモデルを訓練した場合と、Grad-CAMによって抽出された上位17チャンネルのみを用いた場合、および運動野に関連する21チャンネルのみを用いた場合の分類精度を比較した。その結果、全チャンネルを用いた場合の精度は72.60%であるのに対し、Grad-CAMの上位チャンネルを用いた場合は65.09%と有意に低下したが、運動野関連チャンネルを用いた場合は70.85%と有意な低下はみられなかった。
次に、被験者ID 42の事例を詳しく分析した。Grad-CAMの上位チャンネルを用いた場合、右手の動作予測精度が37.5%も低下したが、運動野関連チャンネルを用いた場合は80.0%と高い精度を維持していた。時間-周波数解析の結果から、運動野関連チャンネルを用いたモデルでは0.1秒と0.7秒付近の時間帯の特徴が重要視されていることが示された。
以上の結果から、単なる分類精度のみでなく、事後説明手法と領域知識を組み合わせることで、BCIシステムの信頼性と透明性を高められることが示された。このアプローチは、ステークホルダーとの協調的な意思決定を支援する上で有用であると考えられる。
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