核心概念
SSc患者における抗Ro/SSA抗体の存在は、ILDのリスク因子であり、ILD発症のスクリーニングに役立つ可能性がある。
要約
本研究は、SSc患者におけるILD発症リスクを予測するために、SSc特異的抗体以外の自己抗体の有用性を検討したものである。
主な結果は以下の通り:
- 全SSc患者の15%が抗Ro/SSA抗体陽性であり、この群では筋肉障害や間質性肺疾患(ILD)の罹患率が高かった。
- 抗Ro/SSA抗体陽性患者のILD合併率は56.2%、陰性患者は47.8%と有意に高かった。
- 多変量解析の結果、抗Ro/SSA抗体はILDのリスク因子であり、オッズ比は1.24であった。
- しかし、抗Ro/SSA抗体はILD進行、死亡率、全般的な疾患進行を予測するものではなかった。
- 本研究結果から、抗Ro/SSA抗体はSSc患者のILD発症リスク評価に有用な追加バイオマーカーとなる可能性が示唆された。特に、高解像度CTが利用できない環境では、この抗体が重要な役割を果たすと考えられる。
統計
SSc患者全体の15%が抗Ro/SSA抗体陽性
抗Ro/SSA抗体陽性患者のILD合併率は56.2%、陰性患者は47.8% (p=0.001)
抗Ro/SSA抗体陽性患者のFVC%は92.5%、陰性患者は95.7% (p=0.002)
抗Ro/SSA抗体陽性患者のDLCO%は66.9%、陰性患者は71% (p<0.001)
抗Ro/SSA抗体はILDのリスク因子であり、オッズ比は1.24 (95%CI 1.07-1.44, p=0.006)
抗Ro/SSA抗体はILD患者のDLCO値を低下させる (回帰係数 -1.93)
引用
"抗Ro/SSA抗体は、SSc患者におけるILD発症のリスク因子である可能性がある。特に、SSc特異的抗体を持たない患者では、この抗体がILDスクリーニングの指標となる可能性がある。"