核心概念
変数の再量化を制限することで、計算量の少ない記述計算量が可能になる。
要約
本論文は、有限変数計数論理において、一部の変数の再量化を制限した場合の影響について考察しています。従来の有限変数計数論理Ckでは、変数の数は制限されているものの、同じ変数を繰り返し量化(再量化)することが可能でした。本論文では、再量化可能な変数の数をk1、再量化不可能な変数の数をk2とするC(k1,k2)という論理を導入し、その表現力と計算量について詳細に分析しています。
C(k1,k2)の特徴
- 再量化可能な変数は、従来のCkと同様に、論理式内で何度でも量化することができます。
- 再量化不可能な変数は、一度しか量化することができません。
主な結果
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表現力の関係:
- 多くの場合、再量化を制限すると論理の表現力が厳密に低下します。
- 再量化不可能な変数を増やしても、再量化可能な変数の減少を補うことはできません。
- 例外的に、C(1,k2)はk′2 > 2k2のときC(0,k′2)よりも厳密に表現力が低くなります。
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アルゴリズム的な意味合い:
- 再量化の制限は、グラフの同型性判定問題の計算量に良い影響を与えます。
- C(k1,k2)に関する同値性の判定は、O(nk1 log n)の領域計算量で多項式時間で実行できます。
- 再量化可能な変数はそれぞれ必要な領域に線形的な増加をもたらしますが、再量化不可能な変数は加法的多項式的な増加しかもたらしません。
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グラフクラスの識別:
- 木幅が高々dのグラフはC(0,d+1)で識別できます。
- 3連結平面グラフはC(2,2)で識別できます。
結論
本論文は、再量化の制限が、記述計算量において計算量の少ない論理の設計に有効な手段となりうることを示しています。特に、再量化不可能な変数は、グラフの同型性判定問題の領域計算量を大幅に削減できる可能性があります。