核心概念
離散力学システムにおいて、最小の感染頂点数を持つ非自明な固定点を効率的に発見する。
要約
本論文は、離散力学システムにおける非自明な最小固定点の発見問題を扱っている。離散力学システムは、伝染病の伝播やエージェントの意思決定プロセスをモデル化するのに広く使われている。固定点は、システムが収束する状態を表す。感染を抑えるためには、感染頂点数が最小の固定点を見つけることが重要である。
具体的には、以下の点が明らかにされている:
非自明な最小固定点の発見問題(NMin-FPE)を定式化し、その計算複雑性を解析した。NMin-FPEは、n^(1-ε)以内の近似解を得ることが困難であることを示した。また、固定点のハミング重みをパラメータとした場合、NMin-FPEがW[1]-hardであることを示した。
特殊なクラスのグラフ(定数頂点を持つグラフ、進行性しきい値モデル、DAG、完全グラフ)に対して、NMin-FPEを多項式時間で解くアルゴリズムを提案した。また、頂点しきい値が1より大きい頂点数をパラメータとした場合、NMin-FPEがFPTであることを示した。
一般のグラフに対して、整数線形計画(ILP)を用いて最適解を得る手法と、ヒューリスティックな解法を提案した。実験結果から、提案手法が既存手法に比べて効果的であることを示した。
統計
頂点数nに対して、NMin-FPEを n^(1-ε)以内で近似することは困難である。
NMin-FPEは、固定点のハミング重みをパラメータとした場合、W[1]-hardである。
定数頂点を持つグラフ、進行性しきい値モデル、DAG、完全グラフに対して、NMin-FPEは多項式時間で解ける。
頂点しきい値が1より大きい頂点数をパラメータとした場合、NMin-FPEはFPTである。