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肝臓の内皮小胞体ストレスセンサーIRE1は、P4HB/PDIA1プロテオスタシス因子の強化を通じて、コラーゲン分泌を調節し、肝臓損傷と線維症に寄与する


核心概念
IRE1シグナリングは、プロリン4-ヒドロキシラーゼ(P4HB)の発現を調節することで、コラーゲン生合成と分泌を制御し、肝臓疾患の病態形成に重要な役割を果たす。
要約

本研究は、内皮小胞体(ER)ストレス応答経路の主要なトランスデューサーであるIRE1が、肝臓疾患の発症と進行に重要な役割を果たすことを明らかにしている。

具体的な内容は以下の通り:

  1. IRE1欠損マウスでは、CCl4誘発性急性肝障害や高脂肪食誘発性非アルコール性脂肪性肝疾患(NASH)の進行が抑制された。これは、IRE1欠損によりERストレス応答が減弱し、肝細胞死が抑制されたためと考えられる。

  2. 慢性CCl4投与や高脂肪食負荷によるマウス肝線維症モデルにおいて、IRE1欠損は肝臓のコラーゲン沈着を大幅に減少させた。プロテオーム解析の結果、IRE1欠損により、コラーゲン成熟に重要なプロリン4-ヒドロキシラーゼ(P4HB)の発現が低下していることが明らかになった。

  3. 細胞実験では、IRE1欠損によりコラーゲンが小胞体内で凝集・蓄積し、分泌が抑制されることが示された。一方、P4HBの過剰発現によりこの表現型が改善された。

  4. NASH患者の肝臓サンプルを解析したところ、XBP1(IRE1の標的遺伝子)発現レベルが高い群では、P4HB発現も高く、線維化関連遺伝子の発現も亢進していた。

以上の結果から、IRE1-P4HB経路は、コラーゲン生合成と分泌を調節することで、肝臓疾患の病態形成に重要な役割を果たすことが示された。

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統計
CCl4投与によりマウス肝臓でXBP1 mRNAスプライシングが強く誘導されたが、IRE1欠損により完全に抑制された。 CCl4慢性投与モデルでは、IRE1欠損マウスの肝臓でコラーゲン沈着が約50%減少した。 高脂肪食負荷モデルでは、IRE1欠損マウスの肝臓重量、血清ALT/AST、肝臓トリグリセリド含量が有意に低下した。 プロテオーム解析の結果、IRE1欠損マウス肝臓でP4HBが一貫して低下していた。 NASH患者の肝臓サンプルでは、XBP1発現レベルが高い群でP4HB発現も高く、線維化関連遺伝子の発現も亢進していた。
引用
"IRE1 signaling is central for maintenance of tissue homeostasis and its deregulation due to chronic ER stress contributes to a variety of pathological conditions including hepatic steatosis, NASH, and fibrosis." "Prolyl 4-hydroxylase plays a central role in collagen synthesis because it catalyzes the hydroxylation of the C4 residue of proline yielding 4-hydroxyproline. This posttranslational modification in pre-pro-collagen is required for stable triple helix formation." "Based on our results, we propose that IRE1-P4HB pathway is essential to finetune the collagen folding capacity and secretory outcome in normal physiology and plays an important pathogenic role in excessive collagen deposition in the ECM."

深掘り質問

肝臓以外の組織におけるIRE1-P4HB経路の役割はどのようなものか?

IRE1-P4HB経路は、肝臓以外の組織でも重要な役割を果たします。IRE1は、エンドプラズミック・レチクルラム(ER)ストレス応答を調節し、タンパク質の折りたたみや分泌を制御します。P4HB(PDIA1)は、コラーゲンの安定な三重螺旋構造形成に不可欠なプロリル4-ヒドロキシラーゼの一部であり、コラーゲンの成熟に重要な役割を果たします。IRE1-P4HB経路は、他の組織においてもタンパク質の適切な折りたたみや分泌を調節し、病態における重要な役割を果たす可能性があります。

IRE1以外のUPR経路(PERK、ATF6)がコラーゲン生合成に及ぼす影響はどのようなものか?

IRE1以外のUPR経路であるPERK(PKR様ERキナーゼ)やATF6(活性化転写因子-6)もコラーゲン生合成に影響を与える可能性があります。PERKはタンパク質合成を抑制し、折りたたみの正確性を維持するために重要な役割を果たします。ATF6はERストレス応答を調節し、折りたたみ不良なタンパク質の除去を促進します。これらの経路がコラーゲン生合成にどのように影響するかは、IRE1と同様に重要な研究課題です。

IRE1-P4HB経路の調節は、他の線維症性疾患の治療にも応用できる可能性はあるか?

IRE1-P4HB経路の調節は、他の線維症性疾患の治療にも応用できる可能性があります。この経路はタンパク質の折りたたみや分泌を調節し、コラーゲンの安定な形成に重要な役割を果たします。他の線維症性疾患においても、タンパク質の適切な折りたたみや分泌が重要であるため、IRE1-P4HB経路の調節が治療戦略として有効である可能性があります。さらなる研究によって、この経路が他の線維症性疾患においてどのように機能するかが明らかになることで、新たな治療法の開発につながる可能性があります。
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