核心概念
デバイスに依存しない弱い硬貨投げ分けプロトコルの偏りを低減するための2つの新しい手法を提案し、それらを適用することで、偏りが約0.29104まで低減できることを示した。
要約
本研究では、デバイスに依存しない弱い硬貨投げ分けプロトコルの偏りを低減するための2つの新しい手法を提案している。
- 自己検証(self-testing)
- プロトコルの開始前に、アリスまたはボブが相手のデバイスを検証する。
- これにより、相手が不正にデバイスを操作することを防ぐことができる。
- アリスが検証する場合(プロトコルP)では、ボブの不正な行動確率が0.6667まで低減できる。
- 中止回避的な合成(abort-phobic composition)
- 複数のプロトコルを合成する際に、一方が不正行為を検出した場合でも、もう一方が勝利を宣言できるようにする。
- これにより、不正行為を検出した場合の中止確率を低減できる。
- プロトコルPとプロトコルQを組み合わせた場合、偏りが約0.29104まで低減できる。
これらの手法は、デバイスに依存しない状況での様々な2者間暗号プロトコルの設計に応用できると考えられる。
統計
不正なアリスの勝利確率は cos2(π/8) ≈ 0.85355 である。
不正なボブの勝利確率は約0.6667である。
提案プロトコルの偏りは約0.29104である。
引用
"デバイスに依存しない状況では、アリスとボブは互いを信頼せず、自分のデバイスも信頼していない。"
"自己検証は、デバイスの入出力挙動から、デバイスが含む量子状態と測定を一意に特定する(最大まで)強力な性質を持つ。"
"中止回避的な合成では、勝者が次のプロトコルの極性を決められるようにすることで、不正行為を検出した場合でも中止確率を低減できる。"