本研究は、急性ウイルス感染時におけるTH1細胞分化の動態制御を、in vitroでの分化誘導とin vivoでの感染後の分化の両側面から解析したものです。その結果、神経ペプチドであるCGRPが、T細胞上の受容体RAMP3を介してTH1細胞への分化を促進し、抗ウイルス免疫応答において重要な役割を果たすことが明らかになりました。
研究チームはまず、TH1細胞とTH2細胞の二分化培養系を用いて、T細胞の分化を調節する因子を探索しました。その結果、CGRPの受容体であるRAMP3がTH1細胞の運命決定に細胞自律的に関与していることを発見しました。
詳細な解析により、細胞外のCGRPシグナルがRAMP3-CALCRL受容体を介してTH2細胞の分化を抑制する一方で、細胞内のcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)および活性化転写因子3(ATF3)の活性化を介してTH1細胞の分化を促進することが明らかになりました。さらに、ATF3はTH1細胞分化の重要な調節因子であるStat1の発現を誘導することで、TH1細胞分化を促進することが示されました。
in vivoでの解析では、ウイルス感染後、ニューロンによって産生されたCGRPと、T細胞上に発現するRAMP3との相互作用が、抗ウイルス性のIFNγ産生TH1細胞およびCD8+ T細胞応答を増強し、急性ウイルス感染の適切な制御に寄与することが確認されました。
これらの結果から、急性ウイルス感染時にニューロンがCGRPを産生することでT細胞の運命決定に関与するという、新たな神経免疫回路の存在が明らかになりました。この回路は、効果的な抗ウイルスTH1細胞応答を誘導するために重要な役割を果たしていると考えられます。
他の言語に翻訳
原文コンテンツから
www.nature.com
抽出されたキーインサイト
by Yu Hou,Linyu... 場所 www.nature.com 10-16-2024
https://www.nature.com/articles/s41586-024-08049-w深掘り質問