核心概念
新規進行性卵巣がんにおいて、ルカパリブ単剤療法に比べ、ニボルマブ-ルカパリブ併用療法は予後が不良であった。
要約
本研究は、新規進行性高悪性度卵巣がん患者を対象に、ルカパリブ単剤療法とニボルマブ-ルカパリブ併用療法の有効性を比較した第3相ランダム化試験ATHENA-COMBOの結果を報告したものである。
主な結果は以下の通り:
- 全解析対象集団において、ニボルマブ-ルカパリブ併用群の無増悪生存期間(PFS)は、ルカパリブ単剤群と比べ有意に短かった(15.0カ月 vs. 20.2カ月、ハザード比1.3)。
- この傾向は、相同組換え欠損(HRD)ステータスやPD-L1発現レベルによる部分集団解析でも一貫して認められた。
- 有害事象の発現率は併用群で高く、特に好中球減少症や肝酵素上昇が顕著であった。有害事象による治療中止率も併用群で高かった(21% vs 12.7%)。
- 研究者は、有害事象による治療中止率の上昇が、併用療法の有効性を低下させた可能性を指摘した。
- 一方、ルカパリブ単剤群では4年時点で33%の患者が無増悪生存を維持しており、長期予後が期待できることが示された。
本研究結果は、卵巣がんにおけるPARP阻害薬とチェックポイント阻害薬の併用療法に関する重要な知見を提供するものと考えられる。今後、最適な併用療法の探索が期待される。
統計
ルカパリブ単剤群の4年時点での無増悪生存率は33%であった。
ニボルマブ-ルカパリブ併用群では、好中球減少症が25.4%、肝酵素上昇が21.2%と、ルカパリブ単剤群と比べ高率であった。
ニボルマブ-ルカパリブ併用群の治療中止率は21%、ルカパリブ単剤群は12.7%であった。
引用
「PARP阻害薬とイミュノセラピーを併用すれば相乗効果が期待できると考えていたが、予想に反して良好な成績は得られなかった。」
「ベバシズマブを加えた三重療法では、オラパリブとデュルバルマブの併用療法に比べ、奏効率が向上したという報告がある。本試験でも、ベバシズマブの追加が結果に影響した可能性がある。」