核心概念
恐怖記憶の消去において、従来の消去法に比べ、対抗条件づけは扁桃体-腹側線条体経路を活性化させることで、より効果的に恐怖反応の回復を抑制する。
要約
恐怖記憶の消去における対抗条件づけ:神経メカニズムと記憶への影響
本研究論文は、ヒトを対象に、恐怖記憶の消去における対抗条件づけ(CC)と従来の消去法の神経メカニズムの違い、および記憶への影響をfMRIを用いて調査したものである。
本研究は、対抗条件づけが従来の消去法よりも効果的に恐怖反応の回復を抑制するかどうか、そして、その神経メカニズムが、従来の消去法で見られる腹内側前頭前皮質(vmPFC)の活性化によるものなのか、それとも報酬系ネットワークの活性化によるものなのかを調査することを目的とした。
48名の健常者を対象に、2日間にわたる実験を行った。1日目には、fMRI内で、対象カテゴリと恐怖刺激(電気ショック)を組み合わせることで恐怖条件づけを行った後、対抗条件づけ群と従来の消去法群に分け、それぞれ異なる課題を行った。対抗条件づけ群には、CS+刺激に対してのみ、迅速な反応に対して金銭的報酬を与えた。2日目には、恐怖記憶の回復を評価する課題や、記憶テストなどを行った。