核心概念
本稿では、従来の手法よりも少ない共有エンタングルメントで古典Singleton限界を達成する、エンタングルメント支援量子誤り訂正符号(EAQECC)の新しい構成方法を提案する。
要約
概要
本稿は、エンタングルメント支援量子誤り訂正符号(EAQECC)の新しい構成方法を提案する研究論文である。この符号は、従来の手法よりも少ない共有エンタングルメントで古典Singleton限界を達成できるという特徴を持つ。
研究目的
本研究の目的は、少ないエンタングルメント資源で高い誤り訂正能力を持つEAQECCを構築することである。
手法
提案されたEAQECCは、以下の3つの要素技術を組み合わせることで実現される。
- テレポーテーションプロトコル
- Qudit単位のSuperdense Coding of Quantum States (QW-SDCQS)
- 古典MDS符号
まず、送信者は、送信したい量子状態とエンタングルメント状態に対してベル測定を行い、その測定結果を古典MDS符号を用いて符号化する。次に、符号化されたビット列の一部を通常の量子チャネルで送信し、残りのビット列はQW-SDCQSを用いてエンタングルメント状態を介して送信する。受信者は、受信したビット列から古典MDS符号を用いて元の量子状態を復元する。
主な結果
- 符号化率R ≤ 1/3の場合、提案されたEAQECCは、従来のc = n-kの最大エンタングルメントを用いるEAQECCよりも少ないエンタングルメントで古典Singleton限界を達成できる。
- 任意の古典[n, k, d]q符号は、パラメータ[[n, k, d; 2k]]qを持つEAQECCに変換できる。
結論
本稿では、少ないエンタングルメントで古典Singleton限界を達成する新しいEAQECCの構成方法を提案した。この符号は、将来の量子コンピュータや量子通信の実現に向けて重要な貢献をするものと期待される。
限界と今後の研究
- 提案されたEAQECCの符号化の複雑度は、quditのレベルqが増加すると大きくなる。
- 今後の研究では、プロトコルの複雑さをさらに低減する方法を探求する必要がある。
統計
符号化率Rが1/3以下の場合、提案されたEAQECCは、c = n-kの最大エンタングルメントを用いる従来のEAQECCよりも少ないエンタングルメントを必要とする。
qレベルのk-quditの符号化の複雑さは、MDS符号化と復号を除いて、O(k log_q(q-1)(k))である。