本論文では、編集距離近似パターンマッチングの通信複雑性を分析し、最適な通信プロトコルを提案している。
まず、ミスマッチ近似パターンマッチングの通信複雑性の既存研究を概説する。ミスマッチ近似パターンマッチングでは、文字列の一致度を編集距離ではなくハミング距離で評価する。ミスマッチ近似パターンマッチングの通信複雑性は既に良く理解されており、必要なビット数の上限と下限が知られている。
次に、編集距離近似パターンマッチングの通信複雑性を分析する。編集距離は計算が複雑であるため、ミスマッチ近似パターンマッチングとは異なる課題が生じる。本論文では、編集距離近似パターンマッチングの通信複雑性の上限を示し、これが最適であることを証明する。具体的には、𝒪(𝑛/𝑚 · 𝑘log^2 𝑚)ビットで全ての𝑘-編集誤り出現位置を表現できることを示す。さらに、𝒪(𝑛/𝑚 · 𝑘log 𝑚log(𝑚|Σ|))ビットで各出現位置の最適な編集操作列も表現できることを示す。
最後に、本論文の構造的洞察を活用して、編集距離近似パターンマッチングの量子アルゴリズムを提案する。提案アルゴリズムは、クエリ複雑性が最適に近く、時間複雑性も効率的である。
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