高感度PAC1受容体センサーの種間比較

Conceitos essenciais

新規に開発したPAClight1P78Aセンサーは、PAC1受容体の活性化を高感度かつ選択的に検出できる。このセンサーは、細胞培養系や動物モデルでの応用が可能であり、PAC1受容体を標的とした薬剤開発に役立つ。

Resumo

本研究では、PAC1受容体を基盤とした新規蛍光センサーPAClight1P78Aを開発した。このセンサーは、PAC1受容体の活性化に伴う蛍光変化を高感度かつ選択的に検出できる。
まず、PAC1受容体のアミノ酸配列を基に、蛍光タンパク質を挿入したセンサー変異体を作製し、スクリーニングを行った。その結果、PAClight1P78Aという変異体が見出された。このセンサーは、PAC1受容体の活性化に応答して1100%もの大きな蛍光変化を示した。
次に、PAClight1P78Aの特性を詳細に評価した。HEK293T細胞やラット初代神経細胞において、PACAP1-38刺激に対して高感度な蛍光応答を示した。また、PACAP以外のペプチドに対しては反応しないことから、高い選択性を有することが明らかになった。さらに、安定発現細胞株を用いた解析から、PAClight1P78Aは高い親和性でPACAP1-38を検出できることが示された。
続いて、PAClight1P78Aの動物モデルでの応用を検討した。マウス脳スライスでは、PACAP1-38の濃度依存的な蛍光応答が観察された。一方、変異体センサーPAClight1P78A-ctrlは反応しなかった。さらに、マウス大脳皮質へのPAClight1P78Aの導入と光ファイバー計測により、PACAP1-38の投与に応答した蛍光変化が in vivoで検出できることを示した。
最後に、ゼブラフィッシュ幼魚の嗅覚領域でのPAClight1P78Aの発現と、PACAP1-38投与に伴う蛍光応答を二光子顕微鏡で確認した。
以上の結果から、PAClight1P78Aは、PAC1受容体の活性化を高感度かつ選択的に検出できる新規ツールであり、薬剤スクリーニングや神経科学研究などへの応用が期待される。

Estatísticas

PAClight1P78Aは、HEK293T細胞で1100%、ラット初代神経細胞で729%の大きな蛍光変化を示した。
PAClight1P78Aの PACAP1-38に対する親和性は29.91 nMであった。
マウス脳スライスでは、300 nMおよび3000 nMのPACAP1-38に対して、PAClight1P78Aはそれぞれ+6.8%、+17.5%のΔF/F0の蛍光応答を示した。
マウス大脳皮質へのPAClight1P78A導入と光ファイバー計測では、PACAP1-38投与に対して126%のΔF/F0の蛍光応答が観察された。
ゼブラフィッシュ幼魚の嗅覚領域でのPAClight1P78Aの蛍光応答は、PACAP1-38投与で145.76%ΔF/F0に達した。

Citações

"PAClight1P78Aは、PAC1受容体の活性化を高感度かつ選択的に検出できる新規ツールである。"
"PAClight1P78Aは、薬剤スクリーニングや神経科学研究などへの応用が期待される。"

Principais Insights Extraídos De

Probing PAC1 receptor activation across species with an engineered sensor

by Cola,R. B., ... às www.biorxiv.org 02-07-2024

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.02.06.579048v1

Perguntas Mais Profundas

PAC1受容体以外の受容体に対するセンサーの開発は進んでいるか?

PAC1受容体以外の受容体に対するセンサーの開発は進んでいます。研究では、PAC1受容体をベースとした新しいセンサーであるPAClight1P78Aが開発され、その特性や応答能力が詳細に調査されています。このセンサーは、PACAP1-38に対する高い親和性を示し、他のペプチド受容体には反応しないことが確認されています。さらに、PAClight1P78Aはマウスの脳スライスや生きたゼブラフィッシュラーバでの実験において、PACAP1-38の検出や時空間的な動態の解析に成功しています。このように、PAC1受容体以外の受容体に対するセンサーの開発は進歩しており、幅広い応用が期待されています。

PAC1受容体の活性化が関与する生理機能や病態との関連について、さらに探索する必要はないか?

PAC1受容体の活性化が関与する生理機能や病態との関連について、さらなる探索が必要です。PAC1受容体は、神経系や免疫系、ストレス応答、不安障害、疼痛、睡眠覚醒サイクルなど多くの生理機能に関与しており、その重要性が示唆されています。新しいセンサーであるPAClight1P78Aを用いて、PAC1受容体の活性化とこれらの生理機能との関連をさらに詳しく調査することで、疾患のメカニズムや治療法の開発に貢献できる可能性があります。したがって、PAC1受容体の生理機能や病態との関連について、さらなる研究と探索が重要です。

PAClight1P78Aを用いて、PACAP/PAC1受容体系の時空間的な動態をどのように解析できるか?

PAClight1P78Aを用いて、PACAP/PAC1受容体系の時空間的な動態を解析するためには、いくつかの手法や実験が有効です。まず、マウスの脳スライスや生きたゼブラフィッシュラーバでの実験を通じて、PAClight1P78Aの応答特性や感度を評価し、PACAP1-38に対するセンサーの応答を観察します。次に、ICV注入やマイクロインフュージョンなどの手法を使用して、PACAP1-38の脳内への投与とその影響をリアルタイムで観察します。さらに、ファイバーフォトメトリーや二光子顕微鏡などの技術を活用して、PAClight1P78Aの蛍光変化を記録し、PACAP/PAC1受容体系の活性化や拡散の時空間的なパターンを解析します。これにより、PACAP/PAC1受容体系の生物学的なプロセスや疾患メカニズムに関する新たな洞察を得ることができます。