Centrala begrepp
細菌集団内の一部の細菌は、薬剤排出ポンプの発現増加、外膜小胞の分泌、膜の変化などの応答を示すことで、抗菌ペプチドの蓄積を抑え、表現型耐性を示す。
Sammanfattning
本研究では、大腸菌と緑膿菌の定常期集団において、タキプレシンに対する表現型耐性が観察された。
- 細菌集団内に、タキプレシンを高度に蓄積する細菌と低蓄積の細菌の2つの亜集団が存在することが明らかになった。
- 低蓄積細菌では、薬剤排出ポンプの発現上昇、外膜小胞の分泌、膜脂質組成の変化などの応答が観察された。これらの応答により、タキプレシンの細胞内蓄積が抑えられ、表現型耐性が発現する。
- 低蓄積細菌は、初期の高蓄積状態から徐々に薬剤排出能を高めることで、表現型耐性を獲得する。
- セルトラリンなどの薬剤排出ポンプ阻害剤を併用することで、低蓄積細菌の出現を抑制し、タキプレシンの殺菌活性を高められることが示された。
- 栄養補充によっても、低蓄積細菌の出現を抑制し、タキプレシンの殺菌活性を高められることが示された。
Statistik
定常期大腸菌集団におけるタキプレシン-NBDの蓄積は、処理濃度が46 μg mL-1の場合、細胞集団の43%が低蓄積細菌、5%が高蓄積細菌であった。
低蓄積細菌では、膜への局在が高く、細胞内への蓄積は低かった。一方、高蓄積細菌では、膜と細胞内への蓄積が高かった。
低蓄積細菌の生存率は無処理細菌と同等であったが、高蓄積細菌の生存率は有意に低かった。
低蓄積細菌では、薬剤排出ポンプ、膜脂質合成、外膜小胞分泌、プロテアーゼ活性などの遺伝子発現が上昇していた。
Citat
"細菌集団内に、タキプレシンを高度に蓄積する細菌と低蓄積の細菌の2つの亜集団が存在することが明らかになった。"
"低蓄積細菌では、薬剤排出ポンプの発現上昇、外膜小胞の分泌、膜脂質組成の変化などの応答が観察された。これらの応答により、タキプレシンの細胞内蓄積が抑えられ、表現型耐性が発現する。"
"セルトラリンなどの薬剤排出ポンプ阻害剤を併用することで、低蓄積細菌の出現を抑制し、タキプレシンの殺菌活性を高められることが示された。"