แนวคิดหลัก
原始星の彩層活動は、従来考えられていた恒星ダイナモだけでなく、原始惑星系円盤からの質量降着によっても活発化している。
研究概要
本論文は、VLT/X-shooterおよびVLT/UVESを用いて取得した64個のG, K, M型原始星の高分解能可視光スペクトルデータに基づき、彩層活動の起源を探る研究である。
彩層活動の起源
彩層活動は、恒星内部のダイナモによって生成される磁場によって駆動されると考えられている。
原始星においては、質量降着も彩層輝線に影響を与えている可能性が示唆されている。
研究方法
彩層輝線の強度を測定し、原始星の彩層がダイナモプロセスと質量降着のどちらによって活性化されているかを調査した。
観測されたスペクトルと光球モデルスペクトルを比較することで、大気パラメータ(有効温度Teffと表面重力log g)、視線速度、連続光ベールの量を決定した。
光球モデルスペクトルを原始星のスペクトルから差し引いた後、Ca II輝線とMg I輝線を測定した。
若い散開星団のZAMS星と比較し、原始星の彩層輝線の強度を調べた。
結果
ベールの無い原始星の場合、Mg I輝線の強度は、ロスビー数が同程度のZAMS星と同程度であった。
これらの原始星のMg I輝線は、ZAMS星と同様のダイナモプロセスによって形成されていると考えられる。
一方、連続光ベールを持つ原始星は、ZAMS星よりも強いMg I輝線を示した。
これらの星は、原始惑星系円盤を持っていると考えられ、質量降着によって光球付近に衝撃が発生し、彩層が加熱されていると考えられる。
結論
原始星の彩層は、ダイナモプロセスだけでなく、質量降着によっても活性化されている。
Mg I輝線は、原始星やZAMS星のような活動的な天体の彩層活動を評価する上で、Ca II輝線よりも適している可能性がある。
สถิติ
分析対象: 4つの星形成領域と7つの運動星団にある64個のG、K、M型の原始星。
データ: VLT/X-shooterとVLT/UVESを用いて取得した高分解能可視光スペクトルデータ。
ベールの無い原始星のMg I輝線の強度は、ロスビー数が同程度のZAMS星と同程度。
連続光ベールを持つ原始星は、ZAMS星よりも強いMg I輝線を示す。