本研究では、海ウニ胚における非対称細胞分裂の制御因子であるAGSタンパク質に着目し、その機能と進化について解明した。
AGSタンパク質は、N末端のTPRドメインと C末端のGoLocoモチーフから構成される。TPRドメインは、AGSの細胞皮質への局在化に重要であり、GoLocoモチーフは、Gαiタンパク質との結合を介して細胞皮質への局在化と機能発現に必要である。
特に、GoLocoモチーフの1つであるGL1モチーフが、AGSの細胞皮質局在化と微小細胞形成に必須の役割を果たすことが明らかになった。一方、GL3やGL4モチーフは、AGSの自己阻害状態の維持に重要であり、これらの配列変化がAGSの機能多様性に寄与していると考えられる。
さらに、他の海棘動物のAGSオーソログを用いた解析から、AGSのC末端領域の進化的変化が、非対称細胞分裂の多様性を生み出す鍵となっていることが示唆された。
AGSは、非対称細胞分裂に関わる因子群(Insc、Dlg、NuMA、Par3)を微小細胞の形成部位に局在化させ、微小細胞の運命決定に必要な因子の蓄積を促進することで、微小細胞の形成と機能発現を制御していると考えられる。
以上より、単一の極性因子であるAGSタンパク質の分子進化が、海棘動物における非対称細胞分裂の多様性を生み出す鍵となっていることが明らかになった。
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