本稿は、一定の健全性を持つ量子局所テスト可能符号(QLTC)の構築に関する研究論文である。QLTCは、量子誤り訂正符号(QECC)の中でも、符号語の局所的な検査によって、符号語がコード空間からどの程度離れているかを効率的に推定できるという特徴を持つ。この特徴は、量子計算の誤り耐性の実現や、量子PCP予想などの量子計算量理論における重要な問題へのアプローチとして期待されている。
従来のQLTC構築手法では、健全性と距離の両方を高いレベルで達成することが困難であった。例えば、[Has17b]や[LLZ22]で提案された符号は、距離はスケーラブルであるものの、健全性が対数的に減少してしまうという問題点があった。
本稿では、一定の健全性を持ちつつ、距離とレートをスケールさせることができる新しいQLTC構築手法を2つ提案している。
最初の方法では、「チェック積」と呼ばれる新しい演算を導入し、これを用いることで、一定の健全性、一定のレート、局所性に比例する距離を持つQLTCを構築できることを示した。具体的には、既存の古典LDPC局所テスト可能符号とランダム量子CSS符号のチェック積を取ることで、目的のQLTCを得ることができる。
2つ目の方法では、[Has17a]で提案された距離均衡化の手法を応用し、構成要素となる量子符号の健全性を維持しながら距離を均衡化する手法を提案した。具体的には、既存の古典LDPC局所テスト可能符号と、特定の形式を持つ古典反復符号のホモロジー積を取ることで、目的のQLTCを得ることができる。
提案手法により構築されたQLTCは、一定の健全性を持ちながら、距離とレートをスケールさせることができる。これは、NLTS予想の解決など、量子計算量理論における重要な問題へのアプローチとして期待される。
本稿では、一定の健全性を持つQLTCの構築に成功したが、距離とレートのスケール性にはまだ改善の余地がある。今後の研究課題としては、より優れたパラメータを持つQLTCの構築が挙げられる。
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by Andrew Cross... : arxiv.org 10-10-2024
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