本論文では、コンピューターサイエンス理論の観点からシミュレーション仮説を分析している。まず、「シミュレーション」を厳密に定義し、物理的チャーチ・チューリング仮説(PCT)と逆物理的チャーチ・チューリング仮説(RPCT)を定義する。これにより、ある宇宙がほかの宇宙をシミュレーションできる条件を明らかにする。
次に、クリーネの第2再帰定理を用いて、ある宇宙がそれ自身をシミュレーションできることを示す。このような自己シミュレーションは、「本当の自分」という概念を意味のないものにする。
さらに、自己シミュレーションの数学的性質や、完全準同型暗号化された自己シミュレーションの哲学的含意などについて議論する。最後に、シミュレーショングラフの構造や、Rice の定理に基づく不可能性結果などを示す。
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