核心概念
メモリスタ素子の状態遷移における最適な駆動プロトコルを導出することで、ジュール熱損失を低減できる。
摘要
本研究では、メモリスタ素子の状態遷移における最適な駆動プロトコルを導出し、ジュール熱損失の低減を示した。
理想的なメモリスタ素子の場合、無制約の最適化問題では、最適な軌道は一定の電力で特徴づけられることが示された(定理1、2)。具体的な線形メモリスタの例では、最適制御により最大で約11%のジュール熱損失の低減が可能であることが明らかになった。
さらに、スイッチング時間の最小化と熱損失の最小化を同時に考慮した場合でも、最適な軌道は一定の電力で特徴づけられることが示された。
メモリスタシステムの場合、ラグランジュ乗数法を用いて最適制御問題を解くことができる。しきい値型メモリスタデバイスの例では、最適制御により最大で約27%のジュール熱損失の低減が可能であることが明らかになった。
制約付きの最適化問題についても検討し、理想的なメモリスタの場合、電流制限下での最適制御プロトコルを導出した。これにより、制約条件下でもジュール熱損失を最小化できることを示した。
以上より、電圧制御または電流制御を用いることで、新興メモリデバイスにおけるジュール熱損失を低減できることが示唆された。
統計資料
ジュール熱損失の最適値Qoptと定電流駆動の場合のジュール熱損失QI=constの比は、Rf/Riが0または∞に近づくと8/9に漸近する。