核心概念
本研究では、Ventcel型の高次境界条件を持つ拡散問題の固有値と固有関数を、曲面メッシュを用いて数値的に解析する。有限要素法による離散化に際し、幾何学的誤差と有限要素近似誤差の両方を考慮した誤差評価を行う。
摘要
本研究では、Ventcel型の高次境界条件を持つ拡散問題の固有値と固有関数を数値的に解析する。
まず、この問題の変分形式を導出し、有限要素法による離散化を行う。物理領域Ωは滑らかであるため、多角形メッシュでは幾何学的誤差が大きくなる。そこで、高次曲面メッシュΩhを用いることで、この幾何学的誤差を低減する。
離散化に際しては、メッシュ領域Ωhと物理領域Ωが一致しないため、関数をΩhから物理領域Ωへリフトする演算子を定義する。この演算子の性質を利用して、固有値と固有関数の誤差を、有限要素近似誤差と幾何学的誤差の両面から評価する。
具体的には、次のような誤差評価を得る:
固有値λjの誤差: |λj - Λj| ≤ cλi(h^2k + h^r+1)
固有関数ujの誤差:
L2(Ω)ノルム: inf_U∈Fℓh ||uj - U||L2(Ω) ≤ cλi(h^(k+1) + h^(r+1/2))
H1(Ω,Γ)ノルム: inf_U∈Fℓh ||uj - U||H1(Ω,Γ) ≤ cλi(h^k + h^(r+1/2))
ここで、Λjは離散固有値、Fℓhは物理領域Ω上のリフト空間、hはメッシュサイズ、kは有限要素の次数、rはメッシュの幾何学的次数である。
最後に、2次元および3次元の様々な滑らかな領域に対して数値実験を行い、理論的な誤差評価を検証する。
統計資料
物理領域Ωは滑らかな(少なくともC2)境界Γを持つ有界連結開集合
固有値問題: -Δu = λu in Ω, -ΔΓu + ∂nu + u = 0 on Γ
固有値λjは増大列を成し、対応する固有関数ujは L2(Ω)の直交基底を成す
離散化には Pk-Lagrange有限要素法を用い、メッシュ次数をrとする
固有値の誤差: |λj - Λj| ≤ cλi(h^2k + h^(r+1))
固有関数ujの誤差:
L2(Ω)ノルム: inf_U∈Fℓh ||uj - U||L2(Ω) ≤ cλi(h^(k+1) + h^(r+1/2))
H1(Ω,Γ)ノルム: inf_U∈Fℓh ||uj - U||H1(Ω,Γ) ≤ cλi(h^k + h^(r+1/2))
引述
"本研究では、Ventcel型の高次境界条件を持つ拡散問題の固有値と固有関数を数値的に解析する。"
"有限要素法による離散化に際し、幾何学的誤差と有限要素近似誤差の両方を考慮した誤差評価を行う。"
"固有値と固有関数の誤差を、有限要素近似誤差と幾何学的誤差の両面から評価する。"