核心概念
細菌のトライパーティット ATP 非依存性ペリプラズム (TRAP) トランスポーターにおいて、Neu5Ac結合に重要な分子的決定因子が明らかになった。
摘要
本研究では、Fusobacterium nucleatumのSiaQMタンパク質の構造解析を行い、Neu5Ac結合部位の詳細を明らかにした。
- SiaQMタンパク質は、ペリプラズム側から細胞質側に向けて基質を輸送する「エレベーター」メカニズムを持つ。
- Neu5Acは、SiaQMのエレベーター領域に位置する特定のアミノ酸残基と相互作用して結合する。特に、Ser300とAsp521との相互作用が輸送に重要であることが示された。
- SiaQMには2つのNa+結合部位と1つの金属結合部位が存在し、これらのイオン結合サイトの協調的な動きが、Neu5Acの細胞質への輸送に関与すると考えられる。
- Neu5Ac結合部位の詳細な構造情報は、この輸送システムを標的とした阻害剤開発に役立つと期待される。
統計資料
Neu5Ac濃度は、ヒト血清中で1.6-2.2 mMと報告されている。
遊離のNeu5Ac濃度は全体の約0.2%しかない。
引述
"Neu5Ac is abundant in many niches [e.g., [Neu5Ac] in human serum is 1.6–2.2 mM (Sillanaukee et al., 1999)]."
"Secreted sialidases from bacteria cleave Neu5Ac from mucins and other biomolecules within their niche (Sillanaukee et al., 1999)."