核心概念
ヒト多能性幹細胞からの造血前駆細胞産生を促進するためには、RUNX1T1とIGFBP2の発現誘導が重要である。
摘要
本研究では、in vitroでのヒト多能性幹細胞からの造血前駆細胞産生を改善するために、in vivoの造血発生過程で発現が高い9つの転写因子遺伝子を同定した。これらの遺伝子発現を人工的に誘導するためのCRISPR活性化システムを開発し、単一細胞RNA-sequencingを用いて解析した。その結果、RUNX1T1の活性化がIGFBP2の発現を誘導し、IGFBP2がエンドセリウム細胞の代謝を変化させることで、in vitroでの造血前駆細胞の産生を促進することが明らかになった。この研究成果は、多能性幹細胞からの造血細胞分化を制御する新たな分子メカニズムを示すものであり、再生医療への応用が期待される。
統計資料
RUNX1T1、NR4A1、GATA2、SMAD7、SOX6、ZNF33A、NFAT5、TFDP2の発現が、CRISPR活性化システムによりiSAM_AGM細胞で増加した。
CRISPR活性化により、動脈性内皮細胞クラスターが拡大した。
IGFBP2の添加により、造血前駆細胞の産生が増加した。
IGFBP2の添加により、内皮細胞の解糖系代謝が抑制され、酸化的リン酸化が促進された。
引述
"RUNX1T1の活性化がIGFBP2の発現を誘導し、IGFBP2がエンドセリウム細胞の代謝を変化させることで、in vitroでの造血前駆細胞の産生を促進する"
"この研究成果は、多能性幹細胞からの造血細胞分化を制御する新たな分子メカニズムを示すものであり、再生医療への応用が期待される"